韓国政府の積弊清算「理性の法廷」に戻るべき(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.01.18 09:34
梁承泰(ヤン・スンテ)元大法院(韓国最高裁判所)長の先週の記者会見と検察出頭の場面を眺める法曹界の視線は「何だかすっきりしない」が大勢だった。「憲政史上初の元司法府首長に対する断罪」という意味的付与が素直に飲み込めない様子だった。「黙っているのが上策」という話の中には現政権の積弊清算フレームに「あまりにも言うことが多い」という逆説的含意が込められていた。梁元大法院長の対応の仕方にも否定的だった。わいろなどの容疑が適用された李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)元大統領とは異なり、元大法院長を職権乱用容疑で司法処理するのは法理的論議と共に政治・社会的にも大きな論争の種になって然るべきだ。瑞草洞(ソチョドン)の法曹界では今回の事件をどのように見て、どのような見通しを持っているのだろうか。検察に対する法曹人の要求も合わせて尋ねてみた。
元司法府総帥が11日、大法院庁舎の鉄門を背にしたまま唇を震わせながら立場を明らかにした。「すべての責任は私にあると…」昨年6月1日に自身の自宅前の公園で記者会見を行った時とは雰囲気が180度違っていた。裁判所の正門の建造物に上がって「梁承泰拘束」を叫ぶ裁判所労組員を無気力に眺めなければならなかった。警察も裁判所所属の警備員もデモ隊を制止しなかった。別の見方をすれば現政権の積弊清算作業の象徴的姿かも知れないという気がした。「感情の広場」の中には「理性の法廷」が割って入る隙間はなかった。梁元大法院長が最後まで検察のフォトラインを拒んだのも最後まで手放さず、また、持ち続けざるを得なかった元大法院長老としての品格と権威のためだったのだろう。だが、最近の言葉で「全知的作家の視点」のあいまいな言い回しは見る人々をもどかしくさせた。
梁元大法院長の召還を見つめる裁判所の見解はどうだろうか。裁判所内のブラックリスト存在の有無が裁判取引疑惑に変わったら司法行政権乱用に続き司法壟断に変化することについていかなる対応もできなかったということに対しては恥辱感が大きかった。ソウル高裁のある部長判事は「今回の事件に異議を提起する裁判官は裁判所内部はもちろん外部でも積弊勢力に追い立てる世論裁判式の雰囲気のために相当数が冷笑的傍観者にならざるをえなかった」と話した。今回の事件で裁判所は相当期間癒えることの難しい傷を負った。最も大きいのは先輩後輩間の信頼が壊れたし、政治的性向が異なる判事に向けられた侮辱と嘲弄によって裁判の過程と結果に対する信頼を担保できなくなったという点だ。政治と政派の組織に変質したわけだ。検察の訊問調書に対する不信は極限状況に達し、今後すべての裁判で検察の苦戦は避けられないように見える。