韓経:【コラム】集団うつに陥る韓国の企業家たち
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.01.08 09:25
1957年生まれの徐廷珍(ソ・ジョンジン)セルトリオン会長が来年末の引退を突然宣言した。所有と経営の分離の方針も明らかにした。本人はかなり以前からあらかじめ決めていた人生設計だという。だが財界関係者の間では憶測が出ている。「当局に何か引っかかったのではないか」というものだ。昨年末に李雄烈(イ・ウンヨル)コーロン会長が引退を発表した時も同じだった。2人とも60代初めだ。この前にはさらに若い1968年生まれの金正宙(キム・ジョンジュ)ネクソン創業者が会社を売却するというニュースが韓国経済新聞の報道で伝えられた。数年前にいわゆる「陳ギョン準(チン・ギョンジュン)ゲート」疑惑に巻き込まれて裁判を受けゲーム産業に対するあらゆる規制に苦しめられてきたことが彼の事業意欲を失わせたという話が出ている。
当事者の真意が別にある可能性にもかかわらず、カーテンの裏の背景を疑う世間の疑惑は静まることを知らない。それが韓国の現実だ。伝統的に韓国社会は企業と企業家に対し好意的でなかった。一部財閥に違法行為と反社会的逸脱がなかったわけではないが、ドラマや映画で企業家は実際よりはるかに悪魔化された姿で描かれている。
世界の舞台を制覇した文化・芸術家に対しては簡単に拍手を送る人たちが、はるかに難しく複雑多端な競争を勝ち抜かなければならない企業のグローバルな成功に対しては渋い評価を出すのが常だ。反対に企業運営上の失敗が明らかになったり事業が後退すれば厳しい攻撃と叱責が相次ぐ。事業所訪問時に女性乗務員を強制動員したという理由で告発された朴三求(パク・サムグ)錦湖(クムホ)アシアナ会長は数カ月にわたり外部との接触を控え閉じこもった。「事実の有無を解明する前にとても恥ずかしかった」という。警察と検察が「乗務員の自発的行事」と判断して無嫌疑処理をしたが多くの企業家は朴会長が感じた侮蔑感にうなずいている。