北朝鮮の金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長が、１７日現在、１週間にわたって公開活動を行っていない。労働党創建日を迎えた今月１０日、金日成（キム・イルソン）・金正日（キム・ジョンイル）が安置されている錦繻山（クムスサン）太陽宮殿を参拝し、同じ日に三池淵（サムジヨン）管弦楽団専用劇場として再建築された建物を視察したという便り以降、公開席上に姿を見せていない。２回目の米朝首脳会談など、慌ただしい年末の外交日程を控えて一息入れたもようだ。

金委員長が年内で最初に消化する大型外交日程はロシアのウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談を挙げることができる。複数の外交消息筋は１７日、中央日報に「今月末に金委員長がロシアを訪問するものとみられる」と伝えた。ロシアメディアの日刊紙イズベスチヤは１５日（現地時間）、金委員長の訪露時点を１０月末または１１月初めになると展望した。ロシア政府も金委員長の年内訪露を公式に確認した。ロシア大統領府であるクレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は１５日（現地時間）、「正確な訪問日程は外交チャネルを通じて合意する」としながら金委員長のロシア訪問を既成事実化した。

訪問時点は米国中間選挙（１１月６日）前になるというのが外交界の見方だ。露朝間で細かい調整が必要な議題がないばかりか、伝統的友邦を訪問するという外交的意味が大きい訪問になるという理由からだ。

国家安保戦略研究院のチョ・ソンリョル首席研究委員は「金正恩委員長にとって訪露は儀式的な意味合いが強い」とし「１１月には米朝首脳会談に集中するため、ロシア訪問は急ぐ可能性が高い」と述べた。東国（トングク）大学北朝鮮学科のコ・ユファン教授は「今年３回も中国を訪問した金委員長がバランス外交の側面でロシア訪問を急ぐものとみられる」と話す。金委員長は今年３回の南北首脳会談（４月、５月、９月）、１回の米朝首脳会談（６月）、３回の中朝首脳会談（３月、５月２回）を消化した。

中国の習近平国家主席の年内訪朝も関心事だ。文在寅（ムン・ジェイン）大統領は今月８日の閣僚会議で「近く金委員長のロシア訪問と習主席の北朝鮮訪問が行われる見通し」と言及した。

だが、労働党党舎執務室の金委員長の頭の中を支配しているのは米朝首脳会談の戦略だろう。ドナルド・トランプ大統領は１６日（現地時間）、２回目の米朝首脳会談に対して「中間選挙以降になる」と再確認した。場所については「米国では開かないと思う」とも述べた。

マイク・ポンペオ国務長官の７日の訪朝以降、米朝間の実務交渉は、現在、公式的には霧の中だ。スティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表が、北朝鮮側のカウンターパートである崔善姫（チェ・ソンヒ）外務省副相に対して８日、「できるだけ早く会おう」と呼びかけたが、実現しなかった。

水面下では米朝両者が首脳会談時点と場所をめぐって活発な接触が続いているものとみられる。チョ研究委員は「ビーガン代表と崔副相間では場所などをめぐり実務的水準の議論が進められ、実際の合意はポンペオ長官の訪朝前に米朝間の相互チャネル等を通して行われるだろう」と述べた。

コ教授も「ビーガン代表と崔副相との間に大きな問題があるというよりも、大きな局面を控えて神経戦を繰り広げている」としながら「米国中間選挙の結果などによって、早ければ１１月末に首脳会談を行った後に終戦宣言をして、１２月中旬以降に金委員長がソウルを答礼訪問する手続きにつながる可能性がある」と予想した。