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「トランプも何もできない…金正恩にだまされた」(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.07.19 14:48
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トランプは取引だ。『取引の技術(The Art of the Deal)』は彼の著書だ。彼の名声の土台となっている。しかしその評判はもつれた。6・12シンガポール米朝首脳会談の良くない成績のためだ。会談から1カ月が経過した。米国は委縮した。会談前までホワイトハウスは決然としていた。「談判、速戦即決、一括妥結」と言った。会談後、そのような語彙は押し流された。

ドナルド・トランプ大統領の勢いは折れた。彼が「七面鳥料理論」を取り出した時からだ。CVID(完全、検証可能、不可逆的な非核化)の圧力カードは蒸発した。彼は17日、「(北朝鮮非核化の)時間、速度制限はない。急がない」と述べた。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の防御術は巧妙だった。康仁徳(カン・インドク)元統一部長官は18日、「トランプも何もできない。金正恩にだまされたということだ」と話した。小説家イ・ムンヨル氏の言葉は実感がわく。「トランプ大統領が取引の技術者だというので見守ったが、結局、手腕は信頼できず、不足した事業家と明らかになった」。

 
トランプは言い張る。「水面下で前向きなことが起こる、シンガポール合意文は美しい文書だ」。それは弁解と自画自賛だ。彼は「この9カ月間、核実験も、ロケット発射もなかった」と言った。しかし北朝鮮に核・ミサイル試験は必要ない。北朝鮮は昨年末、核武力を完成した。取引の技術は取引の包装術に変わったようだ。

若い領導者のイメージ変身は明確だ。彼は残酷な世襲独裁の視線から抜け出した。北朝鮮の核武装は国際的な公認を受けたということだ。マイク・ポンペオ米国務長官は3回目の平壌(ピョンヤン)訪問をした(6日)。彼は金正恩に会えなかった。「手ぶら」の帰国だった。それは北朝鮮の常套的な冷淡だ。「踏み倒し(welsher)」は取引術の重要な要素だ。

「北朝鮮は相手が楽観と幻滅・失望の間を行き来するよう交渉の過程を操作する。失望した相手は北朝鮮が次は協調的な姿勢で出てくるだろうというくだらない幻想が膨らむ(『北朝鮮の交渉戦略』)。その本の翻訳者はソン・スンジョン大田大教授(軍事学)だ。彼は「ポンペオ長官がそのような状況になったようだ」と話した。

北朝鮮の交渉術は不敗の神話だ。千英宇(チョン・ヨンウ)元外交安保首席秘書官は「米国は北朝鮮との交渉で勝ったことがない」と言った。神話は拡張した。非核化交渉は難航だ。金正恩の時刻表の中で動く。なぜこのようになったのか。なぜ米国の未熟さと挫折は繰り返されるのか。原因は「知彼知己」の不足だ。「敵を知って己を知れば百戦しても危うくない」。 『孫子兵法』のその一節は例外がない。

北朝鮮のトランプ研究は徹底的だ。トランプ大統領は直感と変則を駆使する。実務チームは彼の言語習慣、取引方式を追跡した。金委員長は度胸と戦術を鍛えた。しかしトランプ大統領は北朝鮮に対する理解を怠けた。元老北朝鮮専門家の康仁徳(カン・インドク)の分析はこうだ。「北朝鮮を相手にした経験もない状態で緻密な戦術も持たずに出てきた。北との交渉はトランプの不動産契約とは違う。お金を持って駆け引きできない微妙な部分がある」。ソン・スンジョンは孫子の軽敵必敗と分析する。「北朝鮮は核を保有したが、貧しいだけに強大国の威勢で適当に押して口説けばよいと見下した」。

金正恩-トランプの対座は反転のドラマだ。トランプはシンガポール会談を取り消した(5月24日)。その直後、北朝鮮外務省第1次官の金桂冠(キム・ケグァン)の談話が出てきた。「朝米首脳対面(米朝首脳会談)がどれほど必要か」。6月1日、金英哲(キム・ヨンチョル)統一戦線部長がワシントンのホワイトハウスを訪問した。

トランプの取引原則は鮮明だ。「交渉をする時、最悪は切実に(desperate)映ることだ。すると相手があなたの血のにおいをかいで、あなたは死ぬ」。トランプは勝機をつかんだと判断した。シンガポール会談は生き返った。彼は楽観と期待値を高めた。「会談は成功するだろう」。立場は変わった。いま「切実」な方は米国だ。首脳会談直前までポンペオはCVIDの圧力を加えた。北朝鮮は瀬戸際で持ちこたえた。トランプはCVIDを放棄した。その代わり「韓半島非核化」に置き換えた。

北朝鮮の「サラミ(salami)」戦術は進化した。彼らは時空間を分けて切る。トランプの「たった一度の機会」を分けた。取引対象も分離する。核兵器・施設・物質に分散させる。彼らはミサイルエンジン実験場の閉鎖を流す。米国の優先関心は大陸間弾道ミサイル(ICBM)。北朝鮮の火星15型は米国本土に脅威を与える。それはトランプの「アメリカファースト」を狙った。北朝鮮は終戦宣言を非核化交渉から引き離す。終戦宣言は平和協定、米朝国交正常化の出発点だ。

トランプの取引の武器はレバレッジだ。彼の取引術は「レバレッジなしに交渉をするな」だ。しかしトランプは自分の原則に背いた。韓米連合訓練のレバレッジを捨てた。彼は「ウォーゲーム(war games)を中断し、我々は大きな費用を節減した」と主張した。千英宇(元6カ国協議代表)は「韓米連合訓練の中断は北核凍結と連係するほどのレバレッジだが、放棄という悪手を打った」と述べた。

北朝鮮は韓米連合訓練を険悪に非難した。中断は先制的な譲歩だ。しかし北朝鮮は低く評価する。「大きな譲歩のように広告したが…再開できる極めて可逆的な措置」。北朝鮮のこうした反応は常習的だ。譲歩すればより多くの譲歩を要求する。トランプの過去の不動産の世界と違う。北朝鮮の交渉はギブ・アンド・テイクではない。


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