「反米コード」に隠された北朝鮮のワシントン片思い(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.03.14 11:41
ワシントンに向けた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の疾走が始まった。「非核化(denuclearization)」の旗を振ってほほ笑む金委員長に、トランプ大統領は「5月に会おう」と意気投合した。4月の板門店(パンムンジョム)での文在寅(ムン・ジェイン)大統領対面ルートを経た歴史的な米朝首脳会談の旅程だ。わずか数カ月前まで「米本土を核の火の海にする」と脅迫していた北朝鮮最高指導者が変身した。何が金正恩委員長の対米路線を急旋回させたのだろうか。朝鮮労働党統治70年のイデオロギーとなってきた北朝鮮の反米コードを解剖してみよう。
ミッキーマウスと「くまのプーさん」(Winnie the Pooh)のキャラクターの舞台登場に続き、背景画面にはアニメ映画の白雪姫と『美女と野獣』の一場面が映し出された。映画『ロッキー』の主題歌とフランク・シナトラのマイウェイも流れた。「このように良い世界、私たちはうらやましくない」と地上の楽園を叫んだ一節は「このように狭い世界」に変えて歌われた。西側国家のコンサート舞台を彷彿させるほどの電子音楽と鮮やかなレーザー照明に聴衆は驚いた。
2012年7月6日、平壌(ピョンヤン)の牡丹峰(モランボン)楽団創立公演会場。北朝鮮最高指導者の金正恩労働党委員長(当時は国防委第1委員長)は2時間近い公演を見た後、親指を立てて称賛した。米資本主義の象徴と見なされたウォルト・ディズニーの作品が総出動した舞台に賛辞を送ったのだ。ライセンスを結んでいない海賊公演ではあったが、閉鎖的独裁体制で反米の旗幟を掲げてきた北朝鮮では破格的なことだった。「他国の良いものは大胆に受け入れて我々のものにすべき」という金正恩委員長の発言が国営宣伝メディアを通じて伝えられた。執権6カ月過ぎの青年指導者(当時28歳)が改革・開放に向かうのではという期待まじりの観測が続いた。