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【時論】安全な世の中は無料でない=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.02.01 14:04
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最近、大型火災惨事が続いている。29人が死亡した忠清北道提川(チェチョン)火災惨事の衝撃が消えない中、今度は慶尚南道密陽(ミリャン)で大型火災が発生し、39人が犠牲になった。

火に関連する災難を防ぐカギは初期鎮圧と避難だ。各種感知装置と屋内消火栓、スプリンクラーは火が拡散する前に使用する装置だ。非常通路・排煙窓・防火扉とスモークタワーは人が避難する時間を稼ぐ役割をする。ところが密陽と提川の火災ではこうした装置がまともに作動しなかった。今回も建物主の欲が被害を拡大したことがあちこちで確認されている。見つけにくい非常口、違法増築、過密病床など。禹元植(ウ・ウォンシク)共に民主党院内代表が言うように「今回の事故も無分別な規制緩和と利潤中心的思考が原因」であるようだ。

 
1911年、米ニューヨーク・マンハッタンの縫製工場(トライアングル・シャツウェスト)で火災が発生した。工場主が非常通路の扉を閉めておいたため、10-20代の146人が建物から飛び降りたりして死亡した。この惨事をきっかけに市民・政治家・労働団体は公共安全委員会を設置し、厳しい安全規制を作った。その後、米国では2001年の米同時多発テロまで、これ以上のビルの大規模人命事故はなかった。マンハッタン火災当時まで米国も一日に100人ほどが死亡する「高危険社会」だった。命の価値が低かったためだ。ゴールドラッシュ当時はさらにひどかった。

その時代の事故発生率は当代の人命の価値と反比例する。50年前、京釜(キョンブ)高速道路は建設作業員ら77人の死者を出してわずか29カ月で完成された。「トンネル工事で水脈にぶつからないか恐れて作業者がためらっていれば、削岩機を奪い取って身分で岩を砕いた」。鄭周永(チョン・ジュヨン)現代グループ元会長の生前の回顧談が武勇談のように語られた非正常な時代だった。

京釜高速道路の一定区間を建設するのに9.3人が死亡したとすれば、最近は1人の死亡に減った。その間、命の価値が10倍高くなった。しかし同じ期間に所得が150倍増えたため、依然として韓国社会は命の価値が低い社会だ。それでも高速成長万能時代に蔓延した「まさか主義」が批判の対象になるどころか、まだ堂々と強行されている。提川や密陽の建物主のように他人の命と安全に大きな責任がある人たちの態度にそのまま残っている。韓国経済は世界10位圏に成長したが、安全に対する認識は依然として経済発展レベルに達していない。それで生命と安全を無視した後進国型事故が頻発し、「安全不感症」という病理的用語に化ける。

ところが内幕をのぞいてみると、事故を招いた建物主の裏には徹底的な金銭的計算が隠れている。密陽の世宗病院の場合、10%の面積を違法増築しながらも6年間わずか3000万ウォン(約300万円)ほどを履行強制金として出し、堂々と営業を続けてきた。安全を脅かす違法増築が病院により多くの利益をもたらすからだ。したがって「安全脆弱地域29万カ所に対する国家安全大診断」のような政府の虚しい展示性対策よりも合理的な代案を出さなければいけない。安全を脅かす違法建築を防ぐには、建物主が違法行為を通じて得る経済的効果を相殺させるしかない。例えば履行強制金を100倍に引き上げよう。セウォル号惨事は国民的公憤を招いて「兪炳彦(ユ・ビョンオン)法」を作った。実際の被害額よりはるかに多くの賠償金を支払わせる懲罰的賠償制度だ。今回も実効性のある対策になるには原因提供者が莫大な個人的・社会的費用を支払うようにしなければいけない。

規制と処罰より費用がかからないのは監視を通じた予防、すなわちシステムだ。しかし公務員は普段から個別対応をしなければいけない監視・予防がうまくできず面倒であるため好まない。したがってこの分野でこそ官民協力統治が必要となる。「建物別主治医」制度を導入し、市民が主体となる安全システムを構築しなければいけない。最近は技術の発達のおかげで安全監視を人なしにできる。IoT(モノのインターネット)技術は建物のすべての部位次元で火災と変形を監視し、3次元バーチャルリアリティ(3D VR)で災難と犯罪を再現して予防策を作る。IBM(Building Information Modelling)技法で建築資材段階から空間情報まですべて反映し、維持・管理できる。英国の公共建築ではすでに強制事項だ。公益のための未来技術投資と活用は民間ではなく政府がしなければいけない。「安全な世の中」は高い。惨事と処罰では簡単に得られない。

ハム・インソン/建築家/漢陽大建築学部特任教授

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