【コラム】危険水準に達した韓国の専門家冷遇風潮
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.01.11 16:00
「専門家種族はひどい(The experts are terrible)」
ドナルド・トランプ米大統領が一昨年の遊説期間中に口癖のように話していた言葉だが、大衆心理動員の鬼才らしい発言だった。ラストベルト(Rust belt)のブルーカラー白人有権者階層に、権威的・自己中心的なパワーエリートに対する不満が募っているということを見抜いた。自身も口うるさい専門家が嫌いだった。トランプは執権後もこのような国民感情に寄り添って外交・通商専門家たちの深刻な反対を押し切って米国優先主義と孤立主義を押しつけた。
韓国の専門家無視風潮も侮れない。新年早々と起きた最低賃金による問題を見れば分かる。文在寅(ムン・ジェイン)政府は財界・学界専門家集団の反対にも3年以内に1時間当たり最低賃金1万ウォン(約1040円)という突然の引き上げを踏み切るかと思えば、今年に入って回ってきたそのツケを再び非専門家的手段を総動員して止めようとする。雇用大乱を追い立てた真犯人は賃金だが、矛先はとんでもないところに向かっている。事業主(最低賃金遵守の取り締まり)・建物主(賃貸料の引き下げ)・大企業(下請けに契約譲歩)・カード会社(手数料の引き下げ)のような周辺のエコシステムを締めつけることだ。もちろん、一つひとつが難題だ。歴代政権が野心に満ちて取り掛かったが両手をあげてあきらめたことを専門官僚らが知らないはずがない。モグラ叩きのハンマーのように経済主体が交代で叩きまくるのは青瓦台(チョンワデ、大統領府)参謀の過度な欲に見える。