文在寅（ムン・ジェイン）大統領の歴訪行事を取材していた韓国記者たちを中国側の警護員が集団で暴行した。暴行にあった記者たちは中国を国賓訪問している文大統領の「公式随行団」所属だ。文大統領は１４日午前１０時３０分（現地時間）、北京市内「国家会議中心」のコンベンションセンターで開かれた「韓中経済貿易パートナーシップ開幕式」に参加した。文大統領が現地に進出した韓国企業と中国バイヤーとの出会いを励ますために大韓貿易投資振興公社（ＫＯＴＲＡ）が設けた席だった。

１０時３９分。文大統領の激励の辞と韓中企業代表の祝辞の時は拍手と歓呼が出てきた。邱国洪駐韓中国大使と女優ソン・ヘギョ、アイドルグループ「ＥＸＯ」のメンバー３人が行事開始を知らせる鉦を打つと、スマートフォンで彼らを撮影しようとする数多くの中国人が集まったりもした。

１０時５０分。文大統領は現場に設置された韓国企業ブース３～４カ所に入って対話をした。その時、中国側警護員が文大統領と韓国警護員を除いた青瓦台（チョンワデ、大統領府）関係者たちと取材記者団の進入を阻止した。

当初「大統領動線の全過程」を取材することに中国側と事前協議をしていたため、記者団は「近接取材許可札」を提示した。すると、警護員は抗議するＡ記者（韓国日報）の喉首をつかんで床に押し倒して押さえつけた。床に倒れたＡ記者はしばらく立ち上がることができなかった。他の記者たちが中国警護員の暴力場面を撮ろうとすると、警護員がいっせいに駆け寄ってカメラを奪い取り、取材を阻止した。

１１時ごろ。文大統領が他方に設置されたブースに移動する過程で警護員が取材陣をまた再び阻止した。記者たちが再度抗議すると、警護員はＢ記者（毎日経済新聞）を約１０メートルを引っ張っていった後、床に押し倒した。引っ張っていく過程でなぐりつけたりもした。それから１０人余りが倒れたＢ記者を囲い込んだ後、顔を足で踏みにじり始めた。取材陣が暴行を中断することを求め「ストップ（ｓｔｏｐ）」を叫んだが、効果がなかった。一部の青瓦台職員が「警護処！警護処！」「韓国警護はどこだ！ちょっと来てください！」「韓国警護来てください」と大声を張り上げたが、警護処職員は現れなかった。この過程で青瓦台行政官も首筋をつかまれた。Ｂ記者は大統領主治医に救急治療を受けたが、目まいや嘔吐症状が続き、中国病院で磁気共鳴画像装置（ＭＲＩ）など精密診断を受けた。

青瓦台高位関係者は午後２時（現地時間）、プレスルームを訪ねて「暴力事態直後（文大統領が留まっている）釣魚台で会議をして外交部ラインを通じて中国に強力抗議し、必要な措置を取るように要求した」とし「文大統領も会議の結果について報告を受けた後、とても懸念を表明した」と伝えた。

警護処関係者もプレスルームを訪問して釈明した。この関係者は「無電で外の騒乱行為が報告されていったところ、騒動が終わった状態だった」とし「最初目撃が遅れたことに対して申し訳ないと考える」と謝罪した。

魯圭悳（ノ・ギュドク）外交部報道官は定例記者会見で「韓国側記者が取材の過程で負傷した不祥事が発生し、非常に残念」としながら「中国政府に直ちに遺憾の意を伝え、事件の真相に対する徹底した調査と必要な対応措置を取ることを強く要請した」と話した。中国外信記者協会（ＦＣＣＣ）は「今年、中国駐在記者たちが取材の過程で暴行にあった報告が数件あった。中国政府に今回の事件に対する真相究明を促す」という内容の声明を発表した。