【時視各角】金正恩除去と「キッシンジャー構想」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.08.28 08:50
戦後70余年の世界秩序は、米ソ冷戦から米ソ中3カ国デタント時代を経て米中競争体制に再編された。チェスボードのパートナーを変えた巨大な変化の設計者はヘンリー・キッシンジャー元米国務長官だ。94歳のこの戦略家は最近でもトランプ大統領、習近平国家主席、プーチン大統領に会い、彼らの諮問に応じている。
キッシンジャー氏は「北朝鮮の非核化は体制を揺るがす問題であるため経済的圧力だけでは到達できない。このため米国と中国が非核化後の北朝鮮の政治に共通の理解を持っていなければいけない」(ウォールストリートジャーナル8月14日付)という内容の寄稿をした。「中国が北朝鮮の非核化に成功すれば、一つの韓国や二つの韓国、または北朝鮮領土内の軍事配備問題のような政治的展開に持ち分(stake)が生じる」とし、中国最優先論を強調した。北朝鮮はキッシンジャー氏の思考体系で問題自体にすぎず、問題解決の主体ではない。
キッシンジャー氏の対北朝鮮解決法には3つの特徴がある。まず、主体は米国と中国だ。北朝鮮は排除する。米朝平和交渉は中国の疑いを招くため望ましくない。2つ目、目標は「完全な核廃棄」だ。「現在の水準で核凍結」のような中間段階はない。核凍結という中間を設定すれば北朝鮮の核保有を事実上容認することになり、韓国・日本・ベトナムの順次的な核武装が避けられない。3つ目は米軍の韓国撤収だ。非核化後に形成される東アジアの政治秩序には中国の立場が反映されるべきだが、その過程で米軍撤収の可能性がある。米軍撤収はキッシンジャー氏のウォールストリートジャーナルへの寄稿に明確には出てこない。キッシンジャー氏はその半月前、「米国と中国が北朝鮮政権の崩壊後、韓半島から在韓米軍の大半を撤収させることに事前に合意すればよい」とティラーソン国務長官に提案(ニューヨークタイムズ7月29日付)したという。キッシンジャー氏は米中(主体)が完全な核廃棄(目標)をし、米軍撤収(見返り)を断行しようということだ。