【噴水台】全斗煥回顧録と映画『タクシー運転手』
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.08.07 15:54
1953年、世界文学界が騒々しかった。ウィンストン・チャーチル英首相がアーネスト・ヘミングウェイやロバート・フロストなど当代最高の文人を抑えてノーベル文学賞を受賞したのだ。作品名は『第二次世界大戦回顧録』。スウェーデン・アカデミーは「チャーチルが48年から6年にわたり自分の記憶と史料・文書などファクト(事実)を根拠に戦争の惨状を文学的に生々しく記述した」と選定理由を明らかにした。前例のない破格だった。
韓国の指導者にチャーチルのような回顧録を期待するのは難しい。チャーチルは従軍記者として活躍し、エッセイや小説まで執筆した文筆家だった。しかしそれは別の問題だ。回顧録の本質はファクトであるからだ。ところが韓国の歴代大統領はファクトは伏せて自画自賛ばかりする。国民は感動するはずがない。尹ボ善(ユン・ボソン)、全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)、金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)など歴代大統領7人の回顧録がほとんどそうだった。このうち全斗煥元大統領の回顧録が最も激しい。