【コラム】アルファ・ガールの国・韓国に性犯罪がはびこる理由
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.08.01 14:36
怖すぎると悲鳴さえ出ないということをその時初めて知ったという。友達と遊んでいた街で誰かが自身をひったくって奥深い路地に連れて行ったという。手荒い態度で服を破る男の形体が月の光にぼんやりと現れたが、確かに街で1、2回ぐらいは遇ったことのある顔だった。折りしも近所を通りかかっていた人の足音に男が慌てて逃げたのでそれ以上の悪いことは免れることができた。這っていくように家に帰って事情を話したが、母は直ちに犯人を探しに出ることも警察署に駆けつけることもしなかった。ただ、私を洗ってくれてから、早く寝なさいと言うだけだった。その後も家族の誰もそのことを口にしなかった。またいつその男に遇うかわからないという恐怖感、自分自身が汚されたような羞恥心を乗り越えるのはただ自分一人だけの戦いだった。
この間、私に小学生時代の怖かった経験を聞かせてくれた知り合いは「もしかして、噂が立てばより大きな被害を受けるかと思って皆黙っていたのだろう」とし「今は理解している」と話した。だが、当時、誰でも「君の誤りではない」と言ってくれたなら、そして犯人を捜し出して相応の罰を受けさせたなら、長い長い時間をトラウマに苦しめられることはなかっただろうと話した。その話を聞いて私の気持ちも限りなくもどかしくなった。その時も、約20年が過ぎた今も、韓国社会はあまり変わっていないからだ。京畿道驪州(キョンギド・ヨジュ)市のある高校で起きた女子生徒集団セクハラ事件から分かるように、2次・3次被害を心配した被害者らがまともに対応できない間、加害者は正当な処罰を避けることが一度や二度ではないためだ。そのうえに、ニュースになるのは氷山の一角だけで、どれほど多くの性犯罪が水面下に隠されているか分からないためだ。
数週間前にある教授から聞いた大学内の状況を見てもそうだ。同じ大学の教授に長い間性暴行に遭ってきた大学院生の弟子が耐えられず告訴をしたが、その教授が「できるものならやってみなさい」として誣告容疑で反訴したという。普段から教授社会でも悪名が高かったため、さらに被害者がいる公算が大きいといった。だが、若い学生たちにとっては身分が露出するリスクを甘受して法廷争いを行うことを敬遠するほかはない。高い社会的地位を悪用して「性的横暴」に振舞ううえに、被害者の口まで塞いでいる局面だ。この話を伝えた教授は「大学は隠すことに汲々としているから、似たようなことが茶飯事」として言葉を失った。