俳優イ・ビョンホン、今度は希代の金融詐欺師…また“社会の憤怒誘発者”に
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2016.12.16 18:14
21日に公開を控えた映画『マスター』(チョ・ウィソク監督)はさまざまな面で昨年11月に公開された映画『インサイダーズ/内部者たち』を思い出させる。イ・ビョンホン主演・高位層の権力争いという素材以外はディテールが大きく違うにもかかわらずだ。映画『インサイダーズ/内部者たち』で演じたチンピラのアン・サングが有力大統領候補と財閥の会長、報道機関の論説主幹の間で利用され翻弄されながら辛酸を嘗める存在だったとしたら、『マスター』のチン・ヒョンピル会長はワンネットワークという金融会社を設立して数兆単位の詐欺を目論み、自身の欲望をひとつひとつ満たしていく、権力を利用する側の人物と言える。
脇を固める登場人物もはるかに多層的だ。映画『インサイダーズ/内部者たち』に登場するキャラクターがそれぞれ高みを目指しているとするなら、『マスター』の知能犯罪捜査隊所属警察のキム・ジェミョン(カン・ドンウォン扮)は、チン会長を「脇役」とみなして帳簿に記されているさらなる上部を狙おうと疾走する正義派、チン会長の右腕でありブレーンのパク・チャングン(キム・ウビン扮)は自分の身の安全を確保するために「こちら側についたと思ったらあちら側につく」ような両面テープのような実益派だ。また、海外に設立されたペーパーカンパニーを使ってカネを盗み出したり海外逃走後に死体で発見されたりするシーンは、当初モチーフと考えていた実在の金融詐欺士チョ・ヒパル以外にも兪炳彦(ユ・ビョンオン)前セモグループ会長などのさまざまな事件を連想させてリアル感を与えている。