「エニーコール火刑式を超える水準で覚悟を固めなければならない」。

ギャラクシーノート７生産中止を迎えたサムスン電子に対し危機管理専門家であるミングルスプーンのソン・ドンヒョン代表はこのように助言した。サムスン電子は１９９５年３月に亀尾（クミ）工場で１５万台の不良電話機を積み上げて燃やした。９４年に製品発売を急いで不良率が１１％台に上昇したエニーコールは、焼却処分後に韓国トップの売り上げを記録する。韓国の経営・コミュニケーション専門家と外信は「生産中止問題がサムスン電子に品質に対する警戒心を呼び覚ます大切な機会になるだろう。今回の危機はどのように対処するかによりサムスン電子には機会になるかもしれない」と口をそろえた。

ノート７生産中止で問題をうやむやにして次のモデルへ進んではならないというのが専門家の共通した意見だ。バッテリー発火原因を徹底的に糾明し、なぜこうした問題が生じたのかを点検した上で再発防止策を立てこれを知らせよという話だ。ストラテジーサラダのチョン・ヨンミン代表は「ノート７バッテリー白書」の出版を提案した。彼は「これ以上ノート７を販売しなくても消費者に被害と不安を起こした問題に対しては最後まで責任を負うという姿勢を見せなければならない。白書を出版し強化された安全基準を業界と共有して模範を見せるべき」と助言した。

消費者の衝撃を考慮すれば単純な１対１の交換や払い戻しでは足りないという意見も出ている。チョン・ヨンミン代表は「あちこちで発火が起きたという話で不安が少なくない顧客に、『同じ価格の製品に交換か払い戻し』では十分な補償ではない彼らの期待を上回る補償プログラムで顧客忠誠度を高めなければならないだろう」と助言した。

この際開発過程と組織文化を点検すべきという主張も多かった。ウォールストリートジャーナルはサムスン電子の製作過程が「協力会社秘密保障」と「速い発売」に焦点が合わされたのが問題だと指摘した。多くの部品が個別に安全テストと認証を経たために統合的な安全が保障されないばかりかどの段階のどの会社の部品で問題が生じたのか迅速な原因糾明もできないということだ。

販売・マーケティング部署が開発部署を主導するような組織文化も変わらなければならないという批判も出てきた。中央大学経営学部のウィ・ジョンヒョン教授は「収益を最大化させられる発売スケジュールを決めて開発チームにこれを合わせることを要求するのがサムスン電子の組織文化。開発チームの意見が十分に反映された開発日程を決めなければならない」と話した。

スピード第一主義も一定部分で手を入れることは避けられない。ソウル大学経営学部のイ・ギョンムク教授は「速度戦はサムスン電子の核心競争力のため完全に捨てろと注文してはならない。ただ製品の複雑性が高まっているだけに品質管理過程にはさらに多くの時間を投じなければならない」と助言した。

ノート７問題の打撃を減らすには長期的にブランド戦略を新しく立てるべきとの注文も出ている。延世（ヨンセ）大学経営学部のシン・ドンヨプ教授は、「プレミアムモデルから超低価格モデルまですべてギャラクシーブランドを使っているため、ある製品で問題が起きるとスマートフォン事業全体がぐらつく。消費者群別にそれぞれ異なるブランドでアプローチすべき」と助言した。

◇ノート７交換・払い戻し開始＝移動通信３社は１３日からノート７の交換・払い戻しサービスを始める。消費者は通信会社代理店やオープンマーケットなどノート７を最初に購入した所で年末まで交換（他社機種含む）・払い戻しを受けられる。ノート７から機種変更をせずに使い続ける消費者はアフターサービスで問題が生じかねない。生産中止で部品の追加生産がないためだ。