韓国経済のために今やるべきことは何か。経済成長率が長期間にわたって下降傾向を描きながら国内経済に対する悲観論と自嘲論が乱舞している。残念だが成長率が今後もいち早く回復する可能性はきわめて低い。対内外の状況変化が不可抗力的だからだ。まず対外依存度が非常に高い韓国経済の特性上、世界経済の低成長基調が続く限り韓国だけが成長率を高めることはあまりにも困難だ。国内的には少子化・高齢化現象が世界で最も早く進みながら産業活力が弱まって福祉財政の負担は加重している。一方で人工知能（ＡＩ）などをベースに第４次産業革命が行われているが、いまだ爆発的な新需要の創出を期待するのは難しい段階だ。

対外的な需要縮小と対内的な供給力低下という根本的な需給条件の変化に直面した韓国経済が別の成長の転機を作るには多くの時間と忍耐が必要だ。新たな市場需給の環境に適応できる、以前とは違った成長体制を形成して稼動させなければならない理由だ。お互いに区別することなく短期間で成長率が上がらないからといって驚き、心配し、非難ばかりするわけにはいかない。急変する環境変化に適応しながら再び成長活力を取り戻すことができる実現可能な政策代案を探して迅速に実践することに力を合わせる努力がより急務で重要だ。幸いこれまで多くの議論を通じて立法化もしくは立法過程にある制度改革の課題だけでも忠実に実現すれば韓国の経済活力は時間を経ながらよみがえる可能性が高い。

まず国内産業の事前的な構造調整を促進するために初めて導入された「企業活力向上特別法」を市場にしっかりと定着させなければならない。供給過剰と収益性の悪化に直面した造船・鉄鋼・石油化学のような国内の主な産業は速やかな事業再編だけで活路を確保できる。これにも増して第４次産業革命を主導するロボット・ドローン・電気自動車のような新産業育成のための「規制フリーゾーン」制度を一日も早く推進しなければならない。これは国内各地域で選定した特化新産業に対する各種規制を撤廃し、地域の投資と雇用を増やそうとする地域経済の活性化制度だ。今回の国会会期中に関連法を優先的に制定してこれを待っている１４市道の地域に新産業の創業と投資の風が起こるようにしなければならない。

低成長時代に産業構造が変わって高齢化が深くなる状況で雇用を増やすには、高成長産業化の時代に固着した労働法制を果敢に改革するほかはない。今のような大企業正規職中心の長時間・高賃金の年功序列労働体系では若者・女性・高齢者に良い仕事を提供するのはほとんど不可能だ。韓国経済の新たな発展戦略が何であっても労働改革を前提としなければ実効性がないと言える。

消費市場に大きな波紋を起こしている「金英蘭（キム・ヨンラン）法（不正請託及び金品等授受の禁止に関する法律）」もまた法制定の趣旨に合うよう運営すれば経済成長を助けることもできる。この法律が追求する蔓延した不正腐敗を解消するには食事・贈り物・慶弔費の金額を制限するよりもこれを助長する各種の既得権と不合理な規制を革新しなければならない。

透明で合理的な市場経済は資源の効率的な配分を通じて成長潜在力を高めてくれる。代案なしに他人のせいばかりにする悲憤慷慨や現実が分からない理想的巨大談論と無責任な空理空談は、韓国経済の治癒時間を遅延させるだけだ。ますます政争が激しくなる特殊な時期的状況だが本当に国内の産業発展と雇用増加を望むならば古い経済制度を改善するために互いに力を集めなければならない。制度改革は成果が１～２年後になればあらわれるためすべての政派が今後この実益を得ることになる。今やらなければ次の５年はさらに難しくなる。

ユ・ビョンギュ産業研究院院長