【噴水台】うっ憤共和国、大韓民国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2016.07.08 07:57
騒音だけが問題だったのだろうか。34歳のKが騒音トラブルであつれきが生じた上の階の老夫婦を殺害した事件のことだ。Kは2カ月間という時間をかけ、隠しカメラを購入して被害者の家の前に設置し、玄関の秘密番号を把握して時を待つという用意周到な姿を見せた。Kが警察に明らかにした犯行の動機に答えがある。「2回抗議したが改善されなかった。私を無視しているようだった」。犯行の裏には老夫婦に自分の抗議が黙殺されたという悔しさがあったということだ。Kが無職だったという点も「私を無視してよいと思っているのか」と恨みを抱く一因になったのではないだろうか。
ところがこの「無視されたから殺した」という犯行の動機、最近あちこちでよく聞く。「女たちが私を無視した」(5月の江南駅殺人事件)から「社長が月給も上げてくれず私を無視した」(5月の大邱建設会社社長殺人事件)など。ユン・テヒョン・ソウル大病院江南センター精神医学科教授に電話をすると、「悔しさは人間が最も耐えがたい感情」と話した。その感情の刃先が他人に向かえば殺人、自分に向かえば自殺になる。そういえば自殺した33歳の検事も部長検事の指示が不当で悔しくて自ら命を絶った。悔しくて殺し、悔しくて死ぬ社会。今日の大韓民国の素顔だ。
社会のどこに行っても、悔しいという人があふれる。保守も進歩も、20代も60代も、男性も女性も、それぞれの理由で悔しさを抱いている。最近ある保守団体が開いた行事で60代の女性参加者が「私たち保守まで弾圧を受けるのはあまりにも悔しい。黙っていてはいけない」と叫び、同僚から拍手を受けるのを見た。その行事場所のそばでは、セウォル号の遺族が特別調査委員会の活動期限を延長すべきだといってデモをしていた。社会の構成員がみんなそれぞれの理由で悔しい。これほどなら「うっ憤共和国」といえる。