1953年の回顧録でノーベル文学賞…「言語で金を稼ぐのがチャーチルの能力」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2016.03.21 10:36
1953年、英首相チャーチルはノーベル文学賞を受賞した。ノーベル平和賞ではない。同年の文学賞有力候補はヘミングウェイだった。それだけに意外だった。受賞作はチャーチルの回顧録『第二次世界大戦』だ。スウェーデン翰林院の選定理由はこうだ。「歴史的で伝記的な文章で見せた卓越した描写と、高揚した人間の価値を擁護する卓越した雄弁術」のおかげ(for his mastery of historical and biographical description as well as for brilliant oratory in defending exalted human values.)
チャーチルと文学賞の間に違和感はない。彼は専業作家より多くの文章を書いたし、本も出した。チャーチルには43冊(72巻)の著書がある。新聞と雑誌に1000件ほど寄稿した。『第二次世界大戦』は205万語を超える。チャーチルは20代初め、キューバとインドの戦場にいた。新聞に戦争の記事を書いた。彼はボーア戦争の現場に行った。その時は従軍記者だった。彼は参戦の経験を本にして出した。ベストセラーとなり、大金を稼いだ。英国のジャーナリスト兼歴史学者ポール・ジョンソンは「チャーチルの能力は戦争を言語に変え、言語をお金に変えること」と語った。
チャーチルは言葉の力を早くから体得した。「人間に与えられた才能の中で演説の才能が最高だ。演説を楽しむ人は偉大な王より長く権力を行使する」(『修辞学の踏み台(The Scaffolding of Rhetoric)』、1897年)。彼は立派な演説と演説家の共通点をこのように集約した。「目を引く存在感、正確な語彙の使用、韻律、論争の蓄積、比喩の適切な駆使」。