【コラム】金正恩の核、平壌のアルファ碁(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2016.03.11 17:54
世の中になかったことが起きた。平壌(ピョンヤン)の最高指導者が核弾頭の前に立ったのだ。一昨日の朝、北朝鮮の官営宣伝メディアは写真数枚とともにこの姿を公開した。地下収蔵庫に徹底的に隠すべき秘密戦略兵器を天下に公開するという初めての事態だった。金正恩の計算はこうであるはずだ。「水素弾実験成功」という発表にもびくともしない南朝鮮と国際社会に実物の核弾頭を投じてみよう。過去最大規模の合同軍事演習で圧力を加えてきた韓米が少しは動き出すだろう。ソウルの人民は核戦争の恐怖の中でざわつき、対北朝鮮圧力を緩めようという世論が力を得るだろう。このように32歳の最高指導者は算盤を弾いたのかもしれない。
しかし予想は外れた。核弾頭だといって公開した銀色の球面体は直径20ミリの碁石に押し出された。人間の李世ドル(イ・セドル)九段とグーグル傘下ディープマインドの囲碁プログラム「アルファ碁」による世紀の対決に埋もれてしまったのだ。金正恩(キム・ジョンウン)のニュースで韓国メディアのトップを飾るという労働党宣伝扇動部の構想(これを韓国情報当局は「北版ヘッドライン戦略」と呼ぶ)が今度は失敗した。