【中央時評】なぜ対北朝鮮政策は失敗するのか(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2016.02.11 16:19
社会主義経済と体制移行を専攻した筆者は、短くない外国生活を終えて2003年に帰国した。北朝鮮を本格的に研究したかったのが主な理由だった。しかし現実は期待と違った。研究に必須のデータが少ないだけでなく公開されることもなかった。さらに北朝鮮問題は理念に透徹した戦士たちがうようよいる戦場になっていた。学問の空間は極めて狭かったが、票計算に明るい政治家が活動するにはこの上なくよい舞台だった。学者たちも権力者の極めて常識的な一言が真理であるように、これを忠実に反映して対北朝鮮政策を作れば高位職に簡単に登用されるようだった。
事実を知らなければ票と理念が支配する。その当時、与党(現在の野党)の数人の国会議員とスタディーグループをした専門家から聞いた話は衝撃的だった。彼らは北朝鮮経済が危機に陥った理由が米国の制裁のためだと信じているということだ。制裁によってペンティアム級コンピューターも輸入できないため、どうやって北朝鮮経済が成長するのかということだった。しかし北朝鮮の危機は制裁でなく悪い体制と制度によるものだ。今まですべての社会主義経済は危機に陥り、資本主義に移行しなければ危機を抜け出せなかったという事実は、例外のない法則だ。さらに丹東に一度でも行ってみれば、北朝鮮はペンティアム級コンピューターをはじめとするほとんどすべての制裁品目を自由に買っていくのを簡単に確認できたはずだ。理念と票に目がくらんで作った政策が実効性を得られないのは当然だ。