【時視各角】危機でないようで危機の韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.12.21 10:46
「韓国、果敢なインフレ政策を進める時だ」。昨年11月19日付の中央日報の1面トップ記事だ。日本が「失われた20年」を経験したデフレの沼に韓国も落ちるという警告だった。当時、消費者物価は24カ月連続で1%台だった。筆者は2月1日、「サイレンの甘い誘惑、デフレーション」というコラムを書いた。1990年代初期に日本の物価が1%台に沈むと「よいデフレ」として喜んだ愚を犯すのはやめようということだった。しかし韓国銀行(韓銀)は「デフレを心配する段階ではない」と一蹴した。しかし消費者物価は昨年12月から11カ月連続で0%台に落ちた。今年1月1日のたばこの値上げがなかったとすれば、史上初のマイナス物価上昇率を見るところだった。
ようやく政府と韓銀は16日、来年の経済政策方向を発表し、「デフレとの戦争」を公式化した。韓銀が上昇する物価を引き下げるのではなく、下落する物価を支えると宣言したのは、50年の設立後初めてだ。しかし宣戦布告の翌日、米連邦準備制度理事会(FRB)が7年間続いた「ゼロ金利時代」に終止符を打った。デフレと戦う準備をする前に武装解除にやられることになった。国際金融市場の風向計が変わるたびに「現金自動預け払い機(ATM)」の役割をした韓国は進退両難となっている。米国を追って利上げしようとすればデフレの悪夢が浮上し、維持すればATMが動く音にうなされる。