【中央時評】進化する北朝鮮経済、進化しない対北朝鮮政策(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.11.19 15:50
貿易と市場は北朝鮮の第4次核実験を防ぐことにも寄与している。金正恩は10月10日の北朝鮮労働党創建70周年閲兵式の演説で、人民という単語を97回繰り返した。「偉大な人民、愛する人民」と何度も叫んだ。彼の統治コードは「恐怖と人民」だ。エリートは恐怖で統制し、人民は親しみに引き込んでこれを統治基盤にしようと思ったのだ。ところが多くの北朝鮮人民の命綱は市場だ。彼が核実験を敢行すれば非常に強化された形の経済制裁が避けられないことであり、中国との経済取引も萎縮することは明らかだ。南北経済協力の可能性も水の泡になるだろう。その結果、貿易だけでなく市場の需要・供給が減って住民生活は苦しくなるだろう。これは人民生活の向上という彼の約束を偽りにする結果を招く。これを分かっている彼は、核実験をせずに閲兵式演説でかえって人民を強調したのだ。
以前とは違い、新しい核実験は北朝鮮政権の権力基盤を揺さぶりかねない。北朝鮮エリートは対外取引から来る外貨収入の減少を嫌がり、北朝鮮住民は市場活動の縮小で苦痛を受けるためだ。ひと声で軍事強国を叫んでいた時とは違い、貿易と市場は北朝鮮の中で核実験に反対する勢力を植えつけた。北朝鮮政権が追加の核実験をすれば国際社会の制裁だけでなく、それよりも恐ろしい内部の経済的圧力に苦しめられるだろう。すなわち市場と貿易が核実験の機会費用を増加させたのだ。