【社説】MERS対応が急務、政府と自治体に争うひまはない=韓国
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2015.06.07 13:09
中東呼吸器症候群(MERS)に対する対応をめぐり韓国政府とソウル市の対立が続いている。ソウル市の朴元淳(パク・ウォンスン)市長は4日に突然の深夜記者会見を開き、「MERS確定患者であるAさんが、1565人が集まった再開発組合総会に参加したが政府は関連情報を公開していない」と非難した。翌日保健福祉部の文亨杓(ムン・ヒョンピョ)長官は、「事実と異なる主張をしており国民の不安感ばかりあおっている」と反論した。5日には朴槿恵(パク・クネ)大統領が「地方自治体が独自にMERSを解決しようとすれば混乱を招くだけ」との立場を表明した。
朴市長は6日に再度記者会見を開き、「政府の患者判定がとても遅く問題が多い。自治体に患者の判定権限を与えてほしい」と要求した。政界も加勢した。与党は政府側の立場に、野党は朴市長側の立場に肩入れしている。忠清南道(チュンチョンナムド)の安熙正(アン・ヒジョン)知事ら一部野党所属の自治体首長も独自の対応に出た。MERSショックの前で与野党、そして中央政府と地方政府間にあつれきが広がる様相だ。MERSとの戦争に与野党の別があり、中央政府と地方政府が別にあるのか。
政府の無能な対応も失望だが、伝染病まで政争の素材としてしまう韓国政治の水準が失望的だ。MERSのため国民みんなが不安に思っているのに韓国の政界は互いに争っていられるほど暇なのか。特に野党陣営はMERS事態が政治的支持を回復できる絶好の機会にでもなると考えるのか。