「頼りにならない韓国政府…最後の砦は市民意識」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.06.05 10:04
1994年9月21日、インド北部の都市スーラト。肺炎症状で市立病院に入院した7人のうち2人が翌日亡くなった。ある町内だけで50人が入院したといううわさがすぐに出回った。数時間後には市民の買い占めで薬局の抗生剤が品切れになった。飲料水の水源地が汚染されたという話まで出てくると1週間で市民30万人が街を脱出した。
現地に急派された世界保健機関(WHO))調査チームは事件発生から1カ月後に「伝染病拡散リスク終了」を宣言した。ネズミを媒介にしたペスト菌が原因だった。WHOは人間の接触による感染跡はないと発表した。関連死亡者は計52人と集計された。都市のマヒを招くほどではなかった。しかし周辺諸国には大規模伝染病事態と映ってインドの農産物輸出の道がしばらく行き詰まった。キム・チュンベク慶煕(キョンヒ)大学社会学科教授はこの事件について「政府、医療当局に対する不信と市民意識の失踪が引き起こした大混乱だった」と話した。
中東呼吸器症候群(MERS)拡散の主な原因は政府の初期対応不足だ。その上「私ぐらいは」という考えで自身の都合だけを考える利己的行動、不安感を助長する社会的病理現象が増している。感染疑いのある状態で中国への出張に行った男性、自家隔離中にゴルフ旅行に行った女性も出てきた。ある大型病院の医師は「MERS患者と接触した事実を隠し後になって確認される人々が出ている。診療で差別を受けるかと思ってそうするようだが、これは病院マヒにつながりかねない」と指摘した。