【取材日記】SARSに立ち向かった香港の市民意識=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.06.03 11:38
韓国の中東呼吸器症候群(MERS)対処方法を問い質す前に時計を2009年5月の香港に戻してみよう。当時新型インフルエンザ(A/H1N1)が拡散し、香港は防疫戦争をしていた。その時市内のメトロパークホテルに泊まっていたメキシコ人1人が病院で新型インフルエンザ感染の判定を受けた。その瞬間、医師は香港衛生署に電話をかけた。救急車が病院に駆けつけ彼を隔離するまで30分かからなかった。また、彼が泊まったホテルに医療スタッフと警察が押しかけ封鎖するのもわずか1時間で行われた。ホテル宿泊客300人余りは新型インフルエンザウイルスの潜伏期間である1週間にわたりホテルで缶詰生活をしなければならなかった。ある韓国人事業家が「1億ドルの契約をしなくてはならない。医療スタッフと一緒でいいので出してほしい」と訴えたが受け入れられなかった。
香港衛生当局には悩みの種がひとつあった。ホテル封鎖当時、市内にいた外国人全員が自主的に復帰したが韓国人3人だけがこれを拒否した。結局香港政府は韓国領事館の協力を得て彼らを隔離することができた。こうした措置にも当時香港では2万6000人余りが感染し、23人の死亡者が出た。当時香港特派員だった記者が衛生署関係者に「あまりに行き過ぎた措置ではないのか」と尋ねた。彼は「1人の命を生かすことができるなら700万香港市民の不便も甘受しなければならない。それが民主主義ではないのか」と問い返した。最近香港政府がMERS陽性判定を受けた韓国人K氏の接触者に対する隔離・追跡だけでなく韓国から来たすべての旅行客まで監視を強化した理由だろう。