【コラム】94歳の辛格浩ロッテ会長の最後の願い(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.03.19 15:46
九十を遥かに越えた老企業家にこのようなたとえが適切なのかは分からない。財界を長く取材してきた古参記者たちにとっても彼は伝説の中の「聖騎士」のように尊い人物だ。メディアに表れることがほとんどないためだ。5本の指に数えられる国内大企業の総帥であり、いまだ現役で走り続けている企業家であるにもかかわらずだ。代表的な引きこもり経営者といおうか。そのような彼が先日久しぶりに世間の耳目を集めた。長男を経営の一線から外しながらだ。グループ内の彼の存在感がいまだ絶対的であることを物語る「事件」だった。韓国と劣らず活発に事業を行っている日本では、「重光武雄」という名前ではるかによく知られている。ロッテグループ創業者である辛格浩(シン・ギョクホ)総括会長のことだ。
19歳の時に単身で日本に渡った彼が日本ロッテを創業したのは1948年だ。続いて60年代後半に韓国で現在のロッテグループを設立した。表に出ることを敬遠する理由は複数ある。韓国語より日本語のほうが流暢なため、失言を恐れて公開の場を避けているとのうわさもある。しかし、少なくとも今はそのせいではないだろう。およそ2年前に大きな手術を受けた後、挙動が以前と同じではないからだ。それでも彼が不自由な体をむち打ち、時間ができると訪れる場所がある。ソウル松坡区蚕室(ソンパグ・チャムシル)の第2ロッテワールドだ。完工すれば南山(ナムサン)より高い123階立ての超高層タワーだ。ほんの数日前に100階までできた。高さ555メートルを誇るこのビルは、予定通りなら来年末にはその姿を表わす。記者も昨年夏にメインビルの工事現場を訪問したことがある。安全ヘルメットをかぶって訪れたメインビルは当時70余階までできた状態だった。それでもはるか足元に臨む石村(ソクチョン)湖とロッテワールドはまるでガリバー旅行記に出てくる小人の国のように色とりどりに見えた記憶が鮮明だった。
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