先日、妻が友人と夕食の集まりから帰って来て話してくれた話だ。久しぶりに会って昔の話、政治の話、芸能人の話をして年齢四十を前にした彼女達が最後に辿りついたのは結局、子供たちの話だったという。

ソウルのある小学校５年生の教室で「私の将来の希望」を発表する時間を持った。芸能人が子供たちの夢を独占し、公務員になるという子供たちも少なくなかった。ところが「不動産賃貸業」を将来の希望として書いた子供がいるという。「どうして？」

その場がざわつくほど「小学生」と「不動産賃貸業」はおかしな組み合わせだった。変だと思うのも束の間、友人の中で「ありえそうなことだ」という意見が出た。共稼ぎ夫婦である私たちは会社の仕事がつらくて子供の教育が心配になった時にこんな話をたびたびした。「ビルをひとつ持って家賃収入で暮らしたら、どんなに良いだろう。」サラリーマンの古典のような古くからのファンタジーを私たちは時をわきまえず子供の前でも話してきたのではないか。

賃貸業が夢だと言った子供は賢くて好奇心の多い子供だという。「家賃収入というのは何か」と両親に尋ね、インターネットでも検索してみたのだろう。結局子供はそれがどれ程すごいことか知ったのだ。そして夢になったのだろう。

うちの子供が賃貸業者になる可能性は殆どない。相続させるビルがないためだ。それでは私は子供に何をしてあげることができるだろうか。具体的に考えてみたことはない。しかし、私と同じように譲るビルがないある知人は「相続させる違うもの」を求めて外国に出た。

大企業に通う知人は２児の母親だ。米国や欧州の先進国は競争率が高いため、より確率が高い中国で駐在員勤務を志願した。駐在員として行けば子供たちがインターナショナルスクールに入学することができるからだ。

海外駐在員の生活を始めたばかりの知人は驚くべき世界を経験しているといった。子供の友達のパパは最近会社に辞表を出した。駐在員としてもう１年さえ持ちこたえれば子供が「イン（ｉｎ）ソウル（ソウル市内）」の名門大学に在外国民特別選考で入れるのに本社（韓国）で辞令が出た。今、子供が韓国に戻ればＳＫＹ〔名門大学とされる「ソウル大・高麗（コリョ）大・延世（ヨンセ）大学」を頭文字で表したもの〕どころか地方大学も大変だ。在外国民選考でなければ子供が名門大に行く方法はない。子供だけ置いておいてくることもできない。最近の大学は両親が一緒に住んでいたのかもチェックする。結局、子供の友人の両親は自営業について調べている。

もしうちの子供の夢が賃貸業になったら、それは私が口にした言葉のせいだ。子供が名門大に入ることができないのなら、知人のケースを見るとそれも私のせいだ。

カン・インシク社会部門記者