【コラム】「物価安定」がうれしくない理由=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.02.04 08:14
経済現象の中には普通の人の常識や直観から外れることがたまにある。よいことに見えても結果的にはマイナスとなる場合がある一方、経済の負担になると見えても後にプラスに作用することもある。庶民を保護するとして賃貸料の上限を規制すれば庶民の住居費負担は減りそうだが、実際には賃貸住宅の供給を減らし、家がない庶民を路上に追い出す結果を招くケースが代表的な例だ。税率を上げれば税収が増えそうだが、実際にはそうならないケースも同じだ。
物価はどうか。普通は物価が安定すればよいと考える。家計の支出を減らせ、収入が同じなら普通の人の実質所得を高める効果があるからだ。しかし物価が長期間にわたり上がらなかったり下落すれば話が変わる。こうした状況になれば、物価の安定は必ずしもプラスではない。世の中のすべてに両面があるように、物価が下がれば消費者はよいが、物を作って売る供給者にはマイナスだ。供給者は損失を出さないとしても、以前に比べて利益が減るのは確実だ。供給者の収入減少は経済全体でみると、国民所得が減る結果を招く。国民所得の縮小は消費を冷え込ませる。消費が冷え込めば需要が減り、物の価格はさらに落ちる。まさにデフレの悪循環に入る。物価が安定してもひたすら喜べることではない。