韓国社会には、朴槿恵（パク・クネ）大統領に対する「冷笑勢力」がある。規模は大きくないが執着は強い。彼らは朴大統領が成功した大統領になることには、これと言って関心がない。これらの心理的背景はさまざまだ。朴大統領が成功すれば次の大統領選挙の状況が難しくなるという判断、朴正煕（パク・チョンヒ）の維新独裁への色濃い反感、当選を助けたのに代価をもらえなかったという背信、知識人ならば永遠に権力を攻撃しなければならないという強迫観念、自分の境遇に対する腹いせ、これでもないあれでもなくただ世の中や権力に対する猜忌（さいき）…。

冷笑勢力は冷酷だ。大統領の長所は花札の札のように隠し、短所はタマネギの皮のようにはがす。「大統領制において大統領は無限責任」としながら絶えず大統領を攻撃する。大統領や青瓦台（チョンワデ、大統領府）の小さな誤りに目をむいてすごみながら、野党や反対勢力の脱線には寛大だ。彼らは物腰柔らかに「大統領は強く、野党は弱い」と話す。この国の冷笑勢力にとって大統領を攻撃することは、子犬を足でけるごとく簡単なことになってしまった。

大統領に対する冷笑勢力の冷たい感情は、セウォル号事件で生き生きとあらわれた。単にセウォル号遺族という名前だけで青瓦台の前で女性大統領に向かって暴言を吐いても、冷笑勢力は何のブレーキもかけない。いやむしろ「よっぽどのことでなければ、そうするものか」と肩を持つ。日本の記者が大統領に対してゴシップ記事を書きまくっても、彼らは「ざまあみろ」という表情だ。大統領がいつも対国民疎通に不十分で、「ワン室長」という者が言葉を誤ったのだからざまあみろという雰囲気だ。さらには、もともとチョン・ユンフェという隠れた実力者がいるからそのようなうわさまで出るのではないかと主張する。

チョン・ユンフェ文書騒動でも冷笑勢力は似ている。この文書がどれほど不十分なものかについては特段の関心はない。「十常侍」が江南（カンナム）の飲食店に定期的に集まって国政をほしいままにしたというから、これより良い報告書はない。チョン・ヨンフェと３人の側近秘書官の名前がぞろぞろと登場すれば、おあつらえ向きだ。飲食店の従業員が「彼らを知らない」と言えば「ほかの飲食店だろう」と信じる。チョン・ユンフェが金淇春（キム・ギチュン）秘書室長排除の陰謀を企てたという内容に及ぶと「それ見ろ。やはりそうじゃないか」と拍手をする。


【中央時評】無条件に朴槿恵を攻撃する「冷笑勢力」（２）