【コラム】中世的「世襲社会」の帰還=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.10.07 13:50
稲が熟す黄色い秋の野原は、寂しく静まり返っている。炎天のもとで農夫が流した汗のしずくが穀類に結集した韓国の一幅の抽象画はしかし、涙ぐましい政治経済学を隠している。平均3000坪余りの土地に投じた平均50年余りの労働で生計維持・子供教育と分家を完了する。かなりの農民は都市に分家していく子供たちにシードマネー(種銭、準備金)を世話してやり、何ごともなかったように再び田畑へと出て行く。腰を襲う痛みを表情に出さないのが農夫の自尊心だ。農夫が任務をつくせば、その小さな田畑は子供たちに世襲されるだろう。
世襲は、都市でより大きな規模で起きる。大都市を彩るビル・マンション・一戸建て住宅のパノラマは、次世代にとっては遺産リストだ。赤と青がせわしく交差する株式市場の活況相場もやはり世襲される資本規模を分単位で知らせる。不動産・株式・債権・貯蓄--資本の構成要素のどれか1つでも受け継いだ子供は、階層の上昇移動の足がかりを備えたわけだ。失業者から出発する人々は、足がかりまで進撃するのに冷や汗を流さなければならない。産業化時代には自身の能力と努力で一群の「成就的な地位」が光を放ったとすれば、今は持って生まれた「帰属的地位」が人生を決める時代に変わった。遺産が有産者になる時代、すなわち中世的な世襲社会が創造経済を叫ぶ21世紀に帰還したというのが、この頃脚光を浴びているフランスの経済学者ピケティの警告だ。