【コラム】文昌克首相候補の辞退で私たちが失ったもの(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.06.25 14:54
文昌克(ムン・チャングク)首相候補の辞退で韓国民主主義は退行の瞬間を迎えている。民主主義は国民の世論、法治を実現する政治のシステムで動いていく。ところが一部のメディアによって誤って導かれた世論、これを根拠とする野党の無差別攻撃と与党の政略的便乗、青瓦台(チョンワデ、大統領府)の無責任が重なり、このシステムは正常に作動していない。その結果、大統領が法的手続きに基づき指名した首相候補・文昌克の適合性は、聴聞会も開かれる前に永久未解決として封印された。
文候補が「日本植民支配と南北分断は神の意向」と発言したというKBS(韓国放送公社)の報道で波紋が広がると、文候補は「韓国史の多くの試練こそがわが国を富強にさせるため」と釈明した。しかし多くの人たちが胸の傷を負った。植民地と分断の過程で戦ったり被害を受けた人たちの犠牲と苦痛の重みが軽視されたと感じたためだろう。文候補に「親日・反民族」というレッテルが貼られた過程だ。
この部分で見逃してはならないファクトがある。発言があった具体的な状況だ。文候補は教会という特殊な空間で、信者という特殊な聴衆を相手に講演をした。信仰的な共感の場だった。世俗の言語ではなく神の言語、信仰的な表現法を使った。人間のレベルを越えた超越的存在の意志を説明する過程で、自然に強調と比喩、省略が行われた。こうした背景と脈絡を考えながら、文候補の講演映像をすべて見ると、KBSの報道とは印象が全く違う。