【社説】きちんとした国民安全システムあるべき
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.04.18 15:04
あきれるほどだ。16日、国内最大という6925トンクルーズ船のセウォル号が、全羅南道(チョンラナムド)の珍島(チンド)近海で転覆する大型事故が起きたのに、備えつけの救命ボート42艇のうち2艇しかまともに使われなかった。ライフジャケットをもらえず足だけで泳いでいた生徒もいた。475人も乗船していたのに、事故時の対処要領をきちんと伝える安全教育もなかった。船長と一部の船員は乗客の脱出を助けるどころか自分たちが先に脱出した。どれ1つとして正常なものがない。1つでも正常に行われていれば不明者を相当減らせたという悔恨の念でいっぱいだ。
クルーズ船会社が初期対応に失敗して数多くの不明者の発生につながった今回の事故は、緊急事故発生時の対処要領、船員安全業務指針など、緊急状況に対処する安全マニュアルがないか、あってもまともに動かないということを見せつけてくれる。大型クルーズ船がこの程度ならば、ほかの場所の安全システムがどんなレベルなのかは察するに難くない。
政府当局も同じだ。きちんとした政府ならば、こうした緊急事故が発生した時に国民を安心させて事態を迅速に収拾できる詳細なマニュアルを備えているのはもちろん、平素から訓練もしっかり行ってきてこそ正しい。こうした安全システムをまともに備えてこそ先進国と言えるのではないか。このすべての状況から見ると、今回の事故は体系的な安全マニュアルと安全意識の不在が招いた人災にならざるをえない。装備よりも人材の問題であり、その人材をまともに動かす安全システムの不在が最も問題だった。国民は不明者の規模と共にこうした安全システムの不在の前に、さらに大きな衝撃を受けている。これは国民を不安にさせるには充分だ。