「私のライバルですか。ただ私です。私がどのようにするかによってオリンピックの結果が出るでしょう」。

ソチオリンピックを控えてイ・サンファがした話だ。いつの間にかライバルがいなくかった彼女は、自身との戦いを続けて進化してきた。結局イ・サンファは韓国スピードスケート史上初のオリンピック２連覇を成し遂げた。

２０１０バンクーバーオリンピック女子５００メートル金メダルを取った後、彼女にも危機が訪れた。２０１０～２０１１シーズン、イ・サンファは５００メートルワールドカップのランキング２位になった。ワールドカップ１次大会の２次レースで７位（３９秒０１）に落ちたこともある。イ・サンファは体力や技術ではなく心を振り返った。彼女は「失望せず走り続けた。すると私も知らない間に経験が積み重なった。特に何かを学んだというより自然にマインド コントロールする方法を見出した。いつからか気が楽になった」と話した。

その後イ・サンファは思いどおりのレースを繰り広げた。２０１２～２０１３ワールドカップシリーズではライバルのいない強者に浮上した。彼女は昨年１月カナダのカルガリーで開かれたワールドカップ４次大会の２次レースで３６秒８０の世界新記録を打ち立てた。イ・サンファはこれに満足しなかった。ほかの人々に勝つためにではなく、自身を乗り越えるために努力した。オリンピックを控えた２０１３～２０１４シーズンには体重を減量し、姿勢を矯正した。あえて無理なことをする必要はなかったが大胆に変えた。その結果、昨年１１月に世界記録を３回も塗り替えた。記録を３６秒３６まで縮めるのにかかった時間は１０カ月だった。

２０１４年イ・サンファは２０１０年イ・サンファを超えた。これからイ・サンファが挑戦する大会は２０１８平昌（ピョンチャン）冬季オリンピックだ。４年後、イ・サンファは満２９歳だ。女子５００メートルで唯一オリンピック３連覇をしたボニー・ブレア（米国）は記録を達成した時の年齢が３０歳だった。１９９８、２００２のオリンピック２連覇を果たしたカトリオナ・ルメイ・ドーン（カナダ）は満３２歳までトップを守った。

イ・サンファは「ソチオリンピックが完全に終わった後に去就を考えてみる」と明らかにした。すでに人生最高の目標であったオリンピックを２度も制覇しただけに、新しい目標設定が必要だ。イ・サンファの小学校時代の恩師であるチョン・プンソンコーチは「サンファは再びオリンピックに出て行くだろう。韓国で開催するオリンピックで意味がある」として「サンファに『イ・ギュヒョクのように最後まで最善を尽くしてみろ。後輩の手本になるだろう』と話した」と伝えた。


【特集】ソチ冬季オリンピック２０１４