【取材日記】韓国海洋部長官、「科学的に問題はない」って?
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2013.09.13 10:05
日本の福島周辺8県の水産物について韓国政府が6日に下した輸入中断措置は、容易な決定ではなかった。福島原子力発電所の放射能汚染水の流出にともなう危険性が浮かび上がる状況で、「国民の健康保護という価値を最優先にしなければならない」という指摘については政府内でも異論はなかった。だが通商・貿易問題が引っかかる事案のため、国民の健康保護という名分に忠実であると同時に日本との外交的摩擦も避ける精巧な戦略が必要な決定だった。
それで政府は、科学的根拠を前面に出した。まず日本政府が汚染水の流出状況についての正確な情報を提供していないという点を挙げた。情報をもらってこそ科学的分析を通じて「日本産の水産物は汚染されていない」と国民に説明できるはずなのに、そうではないために輸入を中断するということだ。2番目の根拠としては、日本政府も該当8県に生産禁止の水産物品目を指定した事実を挙げた。日本がここの水産物の危険可能性について科学的立証の手続きもなく生産禁止品目に指定したのではないという論理だ。そして放射能汚染水が海に流出すること自体は事実だという点を挙げて「放射能の危険可能性は科学的な定説」という論理で輸入を中断した。
ところが尹珍淑(ユン・ジンスク)海洋水産部長官が11日の国会で、こうした韓国政府の論理を無力化させるような発言をした。「実際、科学的な観点から言えば現在では問題がないと考えている」と述べたのだ。彼は「ただし国民の不安感が重要な要素になっており、そうした敏感な部分を政府が知らないふりはできなかった」と話した。ファン・ジュホン民主党議員の「水産物の汚染の可能性についての国民の不安を、これまで政府は怪談として取り扱っていた」という指摘に対する返事だった。