【コラム】“鉄腕アトム”50歳の小市民になる
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2013.09.05 14:07
なめらかな肌にクリっとした目、翼もなしに空を飛んで地球を守った“鉄腕アトム”。彼もいつのまにか家長になった。見送る妻子を後に今日も出勤する。昨夜に会食をしたのか苦々しい表情になっているのは栄養ドリンクでも1本渡さなければならないようだ。意志の強い少年ロボットの無邪気な表情は、影も形もない。ヒョン・テジュン氏の『鉄腕ア…ボジ(アボジ=父親)』だ。
アトムは1951年、手塚治虫(1928~89)が漫画の連載を始めて生まれた。1963年には日本で最初のテレビアニメとして制作され、計193編のシリーズで放映された。アトム放送50周年を記念して、日本の東京都現代美術館では『マンガの力』展を開催している。いつのまにか50歳、漫画の主人公も“知天命”(注:「五十而知天命、五十にして天命を知る」から)に達した。しかし年だけを取って、天命どころか地上の常識さえも分別し難い。背景のみすぼらしい家からもくもくと上がっている黒い煙のように、“ア…ボジ”になったアトムの現在と未来は不確実なものだ。地球を救う名分で戦った戦争ではなく、自分と自分の家族を救うことにも汲々としながら日々の戦争に追われる小市民アトムだ。ただ毎日毎日、疲れるばかりなのだ。