１９６９年１２月、江陵（カンルン）発ソウル行き大韓航空旅客機が離陸２５分後にハイジャックされた。 ５０人が北朝鮮に連れて行かれ、その後３９人が送還された。 しかし乗務員４人と民間人７人は永遠に韓国の地を踏むことができなかった。 いわゆる「大韓航空機ＹＳ－１１ハイジャック事件」だ。

４３年の歳月が流れ、事件は人々の記憶から消えつつある。 しかしファン・インチョルさん（４５）にとって、その日の事件はまだ悲劇として残っている。 父ファン・ウォンさん（当時３２歳）が帰らなかった民間人の一人だからだ。

幼い頃に父親が消えた家庭には不幸を訪れた。 父の会社は６カ月分の月給を支払った後、条件付き休職として処理した。 母はショックで偏執性人格障害に苦しんだ。 ファンさんが父の拉致問題に対して本格的に動き出したのは２００１年。 同年２月の第３回離散家族再会で、当時拉致された乗務員、成慶嬉（ソン・ギョンヒ）さんの姿を見た瞬間だった。 ファンさんは「父も生還するかもしれないと思った」とし「自分の幼い娘を見ながら、当時、父が幼い息子にどれほど会いたかっただろうかと思うと胸が痛んだ」と話した。

ファンさんは過去の資料を調べて生還者に会った。 ファンさんは「大韓航空機ハイジャック事件というと、みんな金賢姫（キム・ヒョンヒ）の大韓航空機爆破事件と思い込む」とし「韓国社会は事件を忘れてしまったが、私は毎日その日のことを考えて暮らしている」と語った。


韓国は６９年「大韓航空機ハイジャック事件」を忘れたが、私は今から…（２）