【取材日記】通貨危機の傷はなぜ庶民にだけ残ったか=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2012.11.22 08:34
金融界全体がリストラ旋風に巻き込まれた1998年初め、国民銀行に勤めていたキム・イェギュンさん(53)は、タンスから金11個(41.25グラム分)を取り出した。子どもの1歳の誕生日に受けた指輪や妻のネックレスまで、家に保管していたすべての金だ。「外貨が不足しているので金でも集めて売ろう」という金集め運動に参加した。同年3月まで計349万人が225トンの金を出した。このうち196トンを輸出し、政府は18億2000万ドルを確保した。こうした国民の誠意が3年で国を立て直す基礎となった。
同年末、キムさんは銀行を離れた。約2700人の早期退職に合流したのだ。今のソウル仁憲洞のチキン店を開くまで3度の失敗を繰り返した。マンションを手放したうえ、1000万ウォン(約75万円)以上の負債を抱えている。キムさんはインタビューの条件に「チキン店の商号『ザ・チキン』を明記してほしい」と注文した。「そうしてでも食べていかないと…」と語った。