韓国の経済専門家は米国の「財政の崖」に注視しています。韓国国会の予算政策処は「財政の崖」が近づけば、韓国経済成長率が０．５％ポイント落ちると分析しました。「財政の崖」のために米国の消費市場が冷え込めば、韓国の輸出が大幅に減少するという理由からです。また朴宰完（パク・ジェワン）企画財政部長官は「米国の保護貿易主義攻勢はさらに強まる」と予想しました。「米国企業を支えてこそ経済が回復する。輸入を制限しよう」という方向に米国政府が動く可能性があるということです。

対外経済政策研究院も似た報告書を出しました。米大統領選挙の直後、「オバマ政権が“財政の崖”問題を解決するため、米国内の雇用創出、経済回復のために積極的に輸出を拡大し、製造業を支援する」と予想しました。これまでグローバル金融危機の対応に力を注いだオバマ政権が、今後は低成長・高失業率問題に焦点を合わせるということです。このため、「自動車・携帯電話のように対米輸出比率が高い韓国企業の対策が必要だ」と勧告しました。

米国の「財政の崖」は、韓国の大統領選挙にも示唆する点があります。韓国の国家債務が増えていますが、大統領候補は資金が必要な公約を出しているからです。収入を増やす案を準備せず支出ばかり増やせば、いつか米国のように政府が財布を閉めなければならない時がくるしかありません。韓国銀行（韓銀）によると、韓国政府・企業・家計の負債合計は今年６月末で２９６２兆ウォン（約２２７兆円）に達します。国内総生産（ＧＤＰ）の２．４倍です。

専門家は「韓国の国家借金が増える状況で、米国発の“財政の崖”のような外部要因までが加われば、経済への衝撃が大きい」とみています。専門家は、成長を通じて所得を増やし、負債比率は徐々に落とす方法を提示しています。