輸入車市場の権力がインポーター（輸入業者）から販売を担当するディーラーにシフトしている。

販売不振に苦しむ輸入車ディーラーがディーラー権を返却して他のブランドを探すだけでなく、米国のようにひとつのディーラーがさまざまなブランドを売る「マルチブランド」ディーラー時代へと進んでいる。インポーターの力が強かった時には考えられないことだった。

ホンダコリアの仁川（インチョン）地域ディーラーのピジョンは今月初めにディーラー権を返却すると通知した。これに先立ち８月には日産コリアのインフィニティ瑞草（ソチョ）ディーラーの韓美（ハンミ）モーターズがディーラー権を返却した。同月ソウル・麻浦（マポ）・松坡（ソンパ）、京畿道（キョンギド）安養（アンヤン）を含むＢＭＷ新規ディーラー募集にはホンダの瑞草（ソチョ）ディーラーの日進（イルジン）モーターズが５０倍の競争率を突破して選ばれた。だが、サービスセンターを含む数百億ウォンの莫大な投資を求めるＢＭＷコリアとの交渉でディーラー権を断念した。

輸入車市場が今年１０万台を突破することが確実視されながら出てきた変化だ。

輸入車市場は２０００年の４４１４台から１０年で２０倍以上成長した。これまでインポーターは地域別ディーラー選定から販売車両先決制、新車販売まで強大な権限を行使した。特にＢＭＷ・ベンツ・レクサスのような輸入車会社はディーラーを選定する際に他のブランドを販売することを認めなかった。

だが、レクサスは販売不振を経て、ベンツはＢＭＷと首位争いにより、昨年から内々にマルチブランドディーラーを認めている。ベンツとレクサスのディーラーが別の輸入車ショールームを出すことだ。ホンダのあるディーラーは３年前から複数の輸入車ディーラー権を確保し、フォルクスワーゲン、ポルシェに続き今年はベンツのディーラー権まで取っている。

米国は１９６０年代から完成車や輸入車業者でなくディーラーが販売網を完全に掌握した。これに伴い、北米最高のモーターショーと評価されるデトロイトモーターショーは３万を超えるディーラーの連合体「北米ディーラー連盟」が主催している。

専門家たちは、今後輸入車販売競争が激しくなるほどディーラーの権限がさらに強まるとみている。