【コラム】沈む帝国の二風景(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2011.03.29 16:18
日本人の報恩意識はほとんど文化的な遺伝子に近い。 国がどうしようもない自然災難をめぐり、賠償を要求して苦痛を吐露するコードが日本人の心性には存在しない。 迷惑をかける行為であるからだ。 個人的な気質と欲求を制御する共同規範を用意し、迷惑を最小化しようという合意で「マニュアル社会」が誕生した。
個人の公共性を促進したマニュアル規則網は、戦後の社会再建と経済復興に奇跡を呼び起こした。 公共秩序と法規を最もよく守る、静かで端正な社会をつくり、職務献身が最も高いワーキングアニマルを量産した。 国の代わりに企業が大衆動員の求心点、報恩の対象になると、トヨタ・ソニー・日本製鉄のような世界最高の企業が続々と誕生した。 並大抵の自然災害もマニュアルで対処が可能だった。 成功神話に助けられ、そのマニュアル化された行為様式が官僚主義と結合すると、誰も犯せない不文法に変わった。 政治もそれに閉じ込められた。