【コラム】「ジャスミン革命」と漁夫送還
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2011.03.07 14:28
冷え込んでいる南北関係に北朝鮮漁夫送還問題が一つ加わった。2月初めに西海(ソヘ、黄海)北方限界線(NLL)を越えて漂流していた北朝鮮漁夫31人のうち、亡命の意思を表した4人を送還対象から除いたことで、北朝鮮が強く反発したのだ。北朝鮮は「反倫理的行為」などと言いながら、全員送還でないという理由で残り27人の送還を拒否している。南側に漂流した北朝鮮住民の部分送還は前例がなかったわけではない。にもかかわらず北朝鮮が「南北間の災い」に言及しながら、4人の漁夫を返してもらうために「可能な手段を総動員する」と述べている。
北朝鮮が4人の漁夫にこだわるのにはいくつかの意図があるようだ。まず中東の民主化革命で敏感になった北朝鮮が、漁夫の韓国亡命に対して過敏に反応しているのだ。北朝鮮は国境地域の携帯電話を取り締まり、外国人に貸与を禁止するなど、外部の情報の流入を遮断するために腐心している。対北朝鮮ビラ散布を理由にした「臨津閣(イムジンガク)照準射撃」脅迫も同じ脈絡だ。今回の漁夫の亡命を放置した場合、大規模な脱北事態につながることもあるという点で憂慮している。体制管理レベルで深刻に受け止めているのだ。北朝鮮政権が住民の動揺と体制の亀裂について、それだけ憂慮しているという傍証だ。
南北関係悪化の責任を韓国に転嫁しようという意図もある。1月の米中首脳会談で出てきた「南北関係の改善が重要で、誠意がある建設的な南北対話が必須」という注文通り、北朝鮮は「すべきことはした」という点を強調しているのだ。韓国に期待できないのなら中国に依存するしかなく、南北関係の改善に関係なく中国の対北朝鮮支援の拡大を正当化させようとしているのだ。実際、昨年10月以降、朝中貿易は前年比で2倍以上に急増した。