副機長「あの、後ろの方で氷がはりついています。ちょっと翼の上をご覧ください」-機長「だめだ、すぐ離陸しなきゃならない」-副機長「それではだめですよ」-機長「大丈夫だって」-副機長「うーむ…、大丈夫かもしれないですね」-激しい騒音-副機長「機長、墜落しています」-機長「わかってるよ!」
1982年1月13日、ワシントンのナショナル空港で離陸したばかりのエアフロリダ旅客機がかちかちに凍りついたポトマック川に墜落し、78人が命を失う。ブラックボックスに残された最後の記録を見ると副機長の婉曲な問題提起を機長が徹底的に無視したことが事故の原因と明らかになる。米国の作家マルコム・グラッドウェルは新作 『アウトライアー』で多くの航空機事故が操縦室内の意思疎通の問題により発生すると指摘した。位階の秩序に染まった副機長たちが機長の誤った判断に対してまともに直言しにくいというのだ。