米国のゼロ金利はひん死状態の経済に刺激を与えるためのカンフル剤だ。米国は‘流動性のわな’を覚悟し、無制限にドルを発行する量的緩和も辞さない姿勢だ。韓国経済に短期的には明らかな好材だ。ソウル証券市場は反騰し、ドルは1ドル=1200ウォン台まで値を下げた。韓国銀行が追加で金利を下げられる余裕も生まれた。家計の利子負担が減り不動産市場も安定を取り戻せる。
しかしカンフル剤は深刻な後遺症をともなう。日本も一時ゼロ金利と量的緩和を進めたが、3年間効果がなかった。むしろ資本の海外流出をあおる副作用を生んだ。問題は世界の基軸通貨のドルが揺さぶられているという事実だ。一般的に基軸通貨が存在感を取り戻す唯一の方法はいわゆる‘バジョット処方’だ。強力な緊縮とともに金利を大幅に引き上げるものだ。しかし今回の米国は正反対の道を進んでいる。天文学的に救済金融を増やし、金利をゼロにしたのだ。