日本の兵庫県朝来市の山あいにある和田山村。住民は6世帯20人余りのこの村に、3代が20年余り暮らしている。
都市で運送業をしていた大森昌也さん(66)は、土をいやがる長男を見て1997年、妻、4人の子供とともに田舎での生活を決意した。週末農場の経験をいかし、9千平方メートルの農地を手に入れ農業を始め、家畜も飼いはじめた。しかし病虫による害で稲作はすべてだめにしてしまった。ニワトリ40羽が1週間でへい死、豚まで肺炎で失った。再び都市に戻ろうかと考えていたころ、山道をさっそうと上る長男が目に入ってきた。都会では風邪で薬に頼ってばかりの暮らしだった。「過去、自然に依存しながら暮らした先祖の精神文化は、欲望を抑制して再生・循環させる世界観だ。食べ物からエネルギーまですべてのものを他人に依存している今の日本は、精神的にも肉体的にも病むほかない」再起を誓った大森さんは子供たちと地球の明日を明るくするという意味で「アース(地球、明日にもかけている)農場」を建てた。