日本人は元々地域特産品を好む。最高級米の品種コシヒカリが代表的だ。改良を繰り返して作り出したこの品種は、ご飯を炊けばコシも強く、ツヤもあって一般品種より2倍近く高い。この品種の栽培に相応しい新潟地方は、この米で作った日本酒の名産地に挙げられる。人形といえば九州地方の博多人形を掲げる、などだ。単純なかけうどん、そばの店が代を継いで栄えるのも、どの地方で誰が作ったのかを重視する日本人特有の文化のため可能なのだ。こうした日本人の情緒は販売の舞台をグローバル市場にしている工産品でも例外ではない。機能や価格にかかわらず電子製品も日本の地で日本人の手で作られたという事実が重要だ。
電気・電子メーカーのシャープは製品の広告でこんな日本人の心をよく掘り下げている。シャープの超薄膜液晶(LCD)テレビを宣伝する広告にはフィンセント・ファン・ゴッホの名作『ひまわり』の絵に日本の“国民女優”の吉永小百合を登場させる。吉永小百合は北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長も“日本で最も美しい女優”と言ったほどだが、日本人の愛を一身に受けている。吉永小百合はゴッホが歩いたフランス南部アルルのひまわり畑を歩きながら「名画のように、壁掛けに。美しい日本の液晶」と言う。電子製品を、どの地方の何の特産品だという同じやり方で宣伝しているわけだ。シャープが消費者に刻印させようとするのは“メイド・・インジャパン”である。消費者は電子製品売場で初めから“シャープの亀山モデルください”と注文する。日本の三重県亀山工場で作った製品をくださいという意味だ。日本国内の工場で日本技術として一貫生産体制で作った製品だから信頼できるというのだ。