現代(ヒョンデ)自動車の労使がストライキなしに今年の賃金・団体交渉を妥結した。 現代車労組がストを行わず賃金・団体交渉に合意したのは97年以来10年ぶりだ。 今回の無スト妥結について会社側は「労使間の共存共生に向けた新たな基礎を築いた」と自評し、労組測も「労使間の信頼回復のきっかけになる」と強調した。 われわれも現代車労使が円満に合意したことを歓迎する。 また労使が明らかにしたように共存共生と信頼回復の実現を期待する。
しかし現代車の労使が合意した内容を見ると、‘無スト妥結’だからといってひたすら拍手を送ることはできない。 合意事項に経営権を深刻に侵害する条項がいくつか盛り込まれているからだ。 まず、新車の生産工場と生産量を労使共同委員会で審議・議決する、としている。 また海外工場の新・増設はもちろん、国内生産車種の海外移転や海外生産製品の第三国輸出までも労組の同意を受けることになっている。 どんな製品をどこでどれほど生産し、どこに売るかを決定するのは経営の核心部分だ。 このため財源と人材を再配置するのも経営陣の基本部分となる。 しかし現代車の経営陣はこうした決定を下す度にいちいち労組の同意を受けることに合意したのだ。