米下院国際関係委員会のハイド委員長が、小泉首相の靖国神社参拝を批判する書簡を米国の日本大使あてに送った。シーファー駐日米大使も「中国・韓国などアジア諸国が神社参拝について懸念している」と話した。これまで同問題について「中立的態度」を示してきた米国が「日本に話すべきことは話したい」との立場に転じ、注目される。
ハイド委員長は、神社参拝に関連した日本政府の論理について、一つひとつ反論した。何よりも、戦犯への東京裁判が「勝者の定義」ではなかった、との点を明確にした。また「靖国は戦犯合祀で軍国主義志向の象徴となった」と強調した。これは、日本が同裁判を「勝者の定義」と見なし「有罪判決を受けた人々が、戦犯ではない」という論理を掲げていることについて、不当性を指摘したものだ。
こうした米国の指摘に対する日本の出方が気になる。これまで日本は、韓中の抗議を一掃してきたからだ。小泉首相は敗戦60周年に際した談話で、かつての日本の侵略について謝罪し「韓国、中国とともに域内平和を発展させて行く必要がある」と確かめあった。しかし、およそ2カ月後に神社参拝の強行に踏み切った。侵略を謝罪するとしながら、軍国主義日本のA級戦犯は追慕する、という二重の態度を堅持してきた。