ローマは世界を3度征服した。最初は軍隊で、次は宗教で、最後は法で征服した。1453年、東ローマ帝国の崩壊とともにローマの武力支配は終わったが、キリスト教とローマ法による世界征服は続いた。
キリスト教は全世界の普遍的な宗教となり、人格の平等や過失責任の原則などを明言したローマ法は、ナポレオン法典(1804年)を通じて具現された。19世紀のドイツの法哲学者ルドルフ・イェーリングは著書『ローマ法の精神』でこう分析した。
フランス大革命の影響を受けたナポレオン法典は、「法律がなければ犯罪も刑罰もない」という罪刑法定主義を確立した。これは罪と罰を好き勝手に裁断した絶対君主時代に終止符を打ち、市民社会に移るうえで牽引役を果たした。