労働者に賃金の下限線を保障することで、安定した生活を送れるようにしようというのが最低賃金制だ。 労働者の絶対貧困を防ごうという趣旨で、19世紀末から導入された。 その後、国際労働機構(ILO)の努力で、世界経済恐以降、広く普及した。 韓国の場合、成長優先論に押されて、1986年にようやく最低賃金法が制定された。
目的だけを見ると、労働者を保護しようという善意の制度であるのは明らかだ。 しかし実際にそのような機能をしているかについては、論議の余地がある。
経済学者の中には、最低賃金制が失業を誘発すると見る人が少なくない。 米国の経済学者デイビッド フリードマンは、最低賃金の引き上げは企業に対する増税と同じだと主張した。 また、最低賃金が上がれば労働者が失職する確率も高まると言った。 人件費の負担が増えた企業が雇用を減らそうとする、という理由からだ。 ものの代金に上乗せして消費者に負担を押し付ける方法もあるが、それではものが売れない。