盧大統領が過去の問題と追加賠償問題を取り上げたとき、私は賠償をこれ以上議論せず、その代わり独島(ドクト、日本名・竹島)問題で確実に対応しようと注文したことがある。その結果ではないが、政府は独島に対する明らかな立場表明とともに、いろいろな対応策を打ち出し、日本の主張に対する国民の公憤も広まった。しかし今、私はまた、その独島のために心配を抱くようになった。主張した通り、独島に観光客が集まり、独島利用に関する数多くの対策が出てきているのに、また何を心配しているというのか。記者という職業であるとはいえ、「何が不安でまたけちをつけるのか」と叱責するかもしれない。
ひと言でいうと、政府が独島問題を他の目的に利用しようとしていないか、という疑問が浮上したためだ。独島は韓国領であるため、我々のものだけを確保すれば終わりだ。日本の様子を見て慌しくなる過去の慣行を直せばそれまでだ。ところが、大統領が直接乗り出して日本の小泉首相を攻撃し、外交通商部(外交部)長官もこれに加勢した。政府が独島を必要以上に浮き彫りにさせている。なぜだろうか。日本と永遠に関係を断とうということか。その場合、我々にもっと大きな損害が生じるはずだが…。こうした点で、政府の行き過ぎた対日敵対姿勢が理解できないのだ。したがって疑問も生じる。
独島問題に対して強硬な態度に転換しながら、同時に提起された主張が「均衡者論」である。盧大統領が空軍士官学校の卒業式で北東アジア「均衡者論」を述べて以来、政府関係者の口から「北方三角」や「南方三角」など、ちぐはぐな概念があふれ出し、「韓米日同盟は北東アジアの対決的思考を前提にしたもの」と言う話が出るかと思えば、「大陸封鎖的思考から抜け出すべきだ」(李海チャン総理)という注文が提起されている。どういう意味なのか。中国、ロシアとの対決構図へ向かってはならないという言葉なのか。それなら理解できる。国交を結んでいるこの2強大国と敢えて悪い関係になる必要はなく、特に中国は、韓国にとって米国以上の輸出相手国であり、韓国経済に最も重要な国家であるためだ。なら、この国々とも仲良く付き合うと簡単に言えばいいものを、「均衡者論」「北方三角」「南方三角」などという概念を持ち出す理由は何か。