今年9月、日本国際交流基金の招待を受け入れた直後、質疑書が届いた。日本のどこを訪問したいのか、ということだった。2つを思い浮かべた。ノーベル文学賞受賞の作家、川端康成の小説『雪国』の町と靖国神社がそれだ。時季はずれの小説の現場は、すぐにあきらめ、結局、靖国を訪ねるのが私の主要日程になった。
なぜ、わざわざ靖国を選んだのだろうか。 そこは、隣国のけん制にもかかわらず、日本首相が参拝を強行する、けしからん空間ではないか。そうすると、日本は、また「個人の資格」を云々、慌てて言い訳をし、韓国と中国はさらに激怒した。そうした騒ぎが、すでに数十年間にわたる。「いったい何故?」という素朴な疑問から靖国神社を訪ねたのは、過ぎた世紀に、大東亜共栄圏の悪夢のため韓日中3国を苦しめた「地雷畑」の実体を自分の目で見てみよう、との決意からだった。
靖国を訪れたのは、初秋の9月。私は一つの提案をした。案内のため来てくれた日本国際交流基金の幹部に、一緒に車に乗り、まず首相官邸前へ行ってほしい、と頼んだ。首相がどんな道を通って靖国へ向かうのか、いったいどんな神社で、どのような参拝が行なわれるのか、を見せてほしいということだった。確認してみると、官邸から神社までは10分の距離。いざ訪ねてみると、靖国は、明治時代に戦争勇士を慰霊するため設けられた。