孤独な君主のモノドラマ…金正恩委員長のテレビ演説政治(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.01.03 15:21
北朝鮮のカラーテレビ放送は韓国より6年早い1974年に始まった。住民統制と金日成(キム・イルソン)一家の偶像化、宣伝・扇動にテレビが役に立つことを早くから看破した結果だ。国際社会がインターネットとユーチューブ映像、モバイルなどに移っているが、依然として北朝鮮の中心メディアはテレビだ。毎年1月1日に2500万人の北朝鮮住民をテレビの前に座らせる視聴率1位の番組がある。金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の「新年の辞」放送だ。労働党70年の統治を経て蓄積された宣伝・扇動ノウハウの結晶体である金委員長のテレビ演説の中に入ってみよう。
モノドラマだった。テレビのカメラアングルの中に登場した金正恩委員長は独りであり、5、6歩ほど歩いて演壇に立った。7個のマイクが並んで主人公を迎えた。赤い労働党旗が立てられていて、演壇と背景には労働党を象徴するマーク「筆・槌・鎌」が見える。画面に少しだけ映った雪に覆われた建物の写真は、ここが平壌(ピョンヤン)中区域蒼光洞(チャングァンドン)の朝鮮労働党中央委員会庁舎であることを表す。金正恩労働党委員長の執務室だ。金委員長の2018年の「新年の辞」テレビ演説放送はこのように始まった。
国営朝鮮中央テレビで中継された「新年の辞」放送は、平壌時間で1日午前9時(北朝鮮はソウルより30分遅い「平壌時」を採択)から30分間続いた。1万3000字分量で、A4用紙10ページ分だ。ここには「国家核武力完成」という金委員長の主張、米国本土を打撃する核ボタンが自分の机上に置かれているという脅迫、平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)に代表団を派遣するから「南北関係」を正常化しようという対南融和攻勢が含まれていた。対北朝鮮制裁で「類例のない厳しい挑戦」が近づいたという切迫感と「不純敵対分子」を探せという注文もあった。一種の施政演説ということだ。